皆さん、クサメタルは好きですか?
クサメタルというジャンルがある訳ではないですが、メロスピ・シンフォニックメタルというジャンルのバンドの中には、ひたすら扇情的なメロディを奏で、大仰な展開を駆使し、時に強烈な哀愁を誘う、そんな音楽を作るバンドがいます。そういったジャンルの音楽を、我々は尊敬の念を込めて、クサメタルと呼んでいます。
簡単に言うと、ガッツポーズしたくなるメタル(特にメロスピ)がクサメタルです。
そういったバンドは、Rhapsody、Sonata Arcticaがデビューした辺り、1990年代末から一気に増え、2000年代前半に1つのブームを迎えました。シンフォニックなアレンジに、疾走する曲。若さ溢れるバンドが数多く現れ、そして消えていきました。しかしながら、そういったバンドが成熟し、様々な音楽を追及していった結果、現在では、純粋なクサメタルを作り続けるバンドというのは減っていってしまっている気がします。
とはいえ、この日本でのクサメタル人気は衰えることはなく、数多くのジャパメタバンドが、クサメロ(クサいメロディー)を乗せたメロディックスピードメタルを軸に据えて活動しています。そして、同人音楽、特に同人メタルの世界では、いかにクサメロを取り入れるかが、成功の要因の1つと言っても過言ではありません! 本記事では、世界中のクサメタルを聴いてきたアブラハムが7つのバンドをチョイスしてご紹介します。
シンフォニックな同人メタル好きには是非おすすめです!
※ベテランバンド(ex. Helloween, Stratovarius)、メジャーなバンド(ex. Rhapsody of Fire, Dragonforce)は除いています。また、現在も活動しているバンドを中心に紹介しています。

By: cgo2
1. Twilight Force
スウェーデン出身のこちらのバンド、2017年のEvoken Festにも参戦し、日本人の心をがっちり掴んでいったことを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
音楽性もさることながら、アルバムのジャケットが完全に狙ってますね。
2. Pathfinder
ポーランド出身のメロスピバンド。圧倒的なスピード感と、それを可能にするテクニック、そして映画音楽のような、「ホンモノ」のシンフォニックアレンジ。ボーカルの衝撃的な音域と、その声質も含めて、新世代のクサメタルの筆頭格です。
1stアルバム、「Beyond the Space, Beyond the Time」が発売された当時の盛り上がりっぷりは、それはもう凄いものがありました(と思っている)。そして、2ndアルバム、「Fifth Element」は、音楽性を踏襲しながらもより聴きごたえのある作品になっています。
3. Ancient Bards
イタリア出身のシンフォニックメタルバンド。女声ボーカル、Sara Squadrani嬢の伸びやかな歌声と、イタリアのバンドらしい、シンフォニックで大仰な音楽を体現する若手バンド。イントロが素晴らしい曲が多いように感じていますし、分厚いシンフォニックアレンジが、このテのファンにはたまりません。
2014年に発売された3rdアルバム、「A New Dawn Ending」では、Rhapsody of Fireのファビオ・リオーネもゲスト参加したりと、着実にビッグバンドへと成長しています。2ndアルバム「Soulless Child」からは、音質も格段に向上し、有名バンドにも引けをとらないクオリティに仕上がっています。
2ndアルバムからのこの曲は、勇壮で、かつクサい、かなりの名曲です!!
4. Dark Moor
スペイン出身のシンフォニックメタルバンド。クサメタル全盛期において、最も優れた作品を生み出したバンドではないでしょうか。エリサ嬢のパワフルなボーカルと、ギタリスト・エンリクが作る、起伏のある曲の数々。クサさにおいては、未だにDark Moorを超えるバンドは出てきていないかもしれません。もはや僕が語るまでもないバンド。
2ndアルバム「The Hall of Olden Dreams」、そして3rdアルバム「The Gates of Oblivion」はクサメタル界に燦然と輝く超名盤。10年以上も前の作品ですが、決して色褪せることはありません。一時、迷走していた時期もありますが、最近はクサさを取り戻し、音質も格段に向上した力作、「Ars Musica」を発表しています。現ボーカルのAlfred Romeroのオペラティックなボーカルも魅力的。
5. Heavenly
フランス出身のメロスピバンド。クサメタル全盛期に成功を収めたもう1つのバンドです。カイ・ハンセン(ex. Gamma Ray)からの影響を隠そうともしないその潔さが、数多くのクサメタルファンのハートを鷲掴みにしました。少し弱めのボーカル、そしてひたすら大仰な展開は、クサメタルのお手本とも呼ぶべきバンドです。
2ndアルバム「Sign of the Winner」は超名盤。特に「The World Will be Better」は、クサメタル至上最強の1曲です。このバンドの登場により、フランスのメタルが認知されるようになりました。
3rdアルバム「Dust to Dust」、4thアルバム「Virus」もより洗練された力作です。ライブ等の活動は続けているものの、アルバムの発表はしばらくありません。
6. Secret Sphere
イタリア出身のメロスピバンド。僕がこのバンドを紹介しない訳がありません。上記のバンドと比べると派手さはありませんが、このバンドにしかない魅力は、引きの美しさ、ずばりこれにあります。疾走一辺倒ではなく、1曲の中での起伏、そしてアルバム全体を通したバランスの良さ、そういったところが評価されるべきだと思います。
1stアルバム「Mistress of the Shadowlight」はクサメタル史上5本の指に入る名盤ですし、2ndアルバム「A Time Never Come」は日本でもヒットしました。バンドの柱であったロベルト・メッシーナを失い、ミケーレ・ルッピを迎えたアルバム「Portrait of a Dying Heart」で見事に復活も遂げました。
7. Heimdall
イタリア出身のメロスピバンド。このリストに載せていいかどうか、非常に怪しい、いかにもイタリアらしい、コテコテでB級感の漂うバンドです。クオリティ的には一気に下がってしまいますが、HeimdallとかHighlordとかShadows of Steelとか、このあたりのイタリアンメタルバンドが数多く出てきた時代は素晴らしかった…笑
2ndアルバム「Temple of Theil」は、エピックさ、勇壮にかけては超ド級クラスの作品です。そして、てっきり解散していたと思っていたのですが、昨年に新譜を出していました!クサさは相変わらずで、なんとも嬉しいですね。
最新作「Aeneid」、これはいいです!買いではないでしょうか。笑
8. Dragon Guardian
日本代表のクサメタルといえば、このバンドしかないでしょう。同人メタル界隈では最も成功したバンドではないでしょうか。特に初期作品の充実っぷりは、パッと出のコンポーザーとは思えないものがありました。
このライブも見に行ったなぁ。Light BringerのHibikiさんとFukiさんが参加したアルバム、ドラゴンヴァリウスは、今は亡きサウンドホリックから出たこともあって、かなりの売上を記録したと聞いています。個人的には1stアルバムに入っている「我らが嘆きのカルミア」が一番クサいと思います。こちらはMinstreliXのLeo Figaroさんのボーカルにより再録されたバージョンが発売されています。
番外編
この曲だけは紹介しておかないといけない…
という曲を、3つだけご紹介します。
1. Dies Ire – In the Name of The King
イタリアの伝説のメタルバンド。発売当初からこのアルバムを手に入れることは難しかった、という話を聴いたことがあります… 本当はこの曲を紹介したいのですが、リンク先、Youtubeでご覧ください。
Dies Ire – Voice of the Reason
2. MinstreliX – Thirst For…
MinstreliXも、Leo Figaroさんが復活してからは非常に活発に活動をされていて、嬉しい限りですが、やはりこのThirst For…を超えられていないという気がします。
3. Thy Majestie – The Sight of Thelman Hill
本来はここで紹介するはずではなかったのですが…これだけは紹介しておかないと…
Secret Sphereと、このバンドがいなければ。最近はメンバーを代えて復活しているようで、しかもそちらもなかなかの力作という噂を聞き、嬉しい限りです。
私、アブラハムの応援もしていただけると幸いです。各ストリーミングサービスにてCarved Kinshipの音源を配信中です。
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